「業務をデジタル化したいけれど、何を相談すればよいか分からない」「使っているシステムが自社に合っているか判断できない」。そんな段階でも、DX相談を利用できます。

相談前に必要なのは、導入するツールを決めきることではありません。どの業務で、誰が、どんな手間に困っているかを言葉にできれば、相談の出発点になります。この記事では、熊谷商工会議所と埼玉県DX推進支援ネットワークの相談先、相談前に整理する項目、当日聞いておきたい質問をまとめます。

熊谷でDXを相談できる窓口

大きく分けると、熊谷商工会議所は地域の経営相談の中でDX推進員などの専門家につなぐ窓口、埼玉県DX推進支援ネットワークは県内中小企業のデジタル化・DX相談を受け、必要に応じて支援機関や事業者とのマッチングも行う窓口です。

窓口相談できる内容申込み・確認方法
熊谷商工会議所の専門家派遣・定例個別相談DX推進員による既存業務のデジタル化、自動化、データ連携など。専門家派遣やオンライン相談も案内されています。電話 048-521-4600(平日8:30〜17:15)または問い合わせ窓口から、相談内容と希望方法を伝えて日程等を確認。
埼玉県DX推進支援ネットワークの相談県内中小企業を対象に、デジタル化の初歩から業務改善、ツール選定、システム導入の方向性まで相談できます。相談受付フォーム、電話 048-647-4088(平日9:00〜17:00)、またはネットワークの構成機関から申込み。

熊谷商工会議所のページは、DX支援として「既存業務のデジタル化、業務の自動化、データ連携等によるDX推進の相談」を案内しています。専門家派遣と定例個別相談があり、オンライン相談も可能とされています。相談日・担当者・会場は変更になる場合があるため、連絡時に最新状況を確認してください。

同ページは会員企業の経営相談を案内しています。非会員の相談可否や専門家相談の利用条件、費用は掲載情報だけでは判断できないため、申込み前に問い合わせて確認しましょう。相談が無料と案内されている専門家支援についても、対象や回数などの条件をあわせて聞くと安心です。

埼玉県DX推進支援ネットワークは、県内中小企業向けにDXコンシェルジュが相談を受けています。「何から始めたらよいか分からない」「Excel中心の業務を見直したい」「ベンダーの提案が自社に必要か判断したい」といった段階も相談例に挙げられています。希望する課題に応じ、支援機関や埼玉DXパートナーの紹介につながることがあります。紹介後の契約は事業者同士の取引となるため、提案内容や費用、契約条件は自社で確認してください。

詳細は埼玉県のネットワーク紹介ページと相談案内で確認できます。

相談前に整理する7項目

最初から完璧な資料を作る必要はありません。以下をメモやA4用紙1枚にまとめ、分かる範囲で持参・送信しましょう。数字が取れていない場合は「未計測」と書き、相談時に測り方を聞けば構いません。

1. 対象の業務と担当者

「会社のDXを進めたい」だけだと、相談の範囲が広くなります。まずは一つの作業を選びます。

  • 見積書を作り、承認を得て、顧客に送る
  • 予約を電話やメールで受け、担当表に転記する
  • 紙の作業記録を表計算ソフトへ入力する
  • 受注情報を販売管理と会計ソフトの両方に入力する

その仕事を誰が担当し、どの部署や取引先が関わるのかも書きます。担当者によって手順が異なるなら、その違いも大事な情報です。

2. 今の手順と使っている道具

作業の開始から完了までを順番に並べます。各段階で、紙、Excel、メール、電話、既存システムのどれを使っているか記録してください。

段階作業の例使っているもの・困りごと
受付電話・メールで注文を受けるメール、電話。受付内容の記入漏れがないか確認
転記共有の管理表へ入力するExcel。別の表にも同じ内容を入力
確認在庫や納期を担当者に確認する電話、口頭。返答待ちで処理が止まる
完了顧客へ回答し、記録を保管するメール、紙ファイル。後から履歴を探しにくい

表は記入例です。自社で実際に行っている手順と道具に置き換えます。

3. 作業時間・件数・頻度

「時間がかかる」を、分かる範囲で数字にします。正確な計測でなくても、相談のたたき台になります。

  • 1回の処理にかかる時間(例:入力と確認に約15分)
  • 1日・1週間・1か月あたりの件数
  • 作業する人数
  • 月末など特定の時期に増えるか
  • 修正や問い合わせ対応がどれくらい発生するか

記録がないときは、数日分だけ開始・終了時刻を記録する方法もあります。推定値なら「概算」と分かるようにして、実績値のようには扱わないでください。

4. 困っていることと影響

時間以外の影響も整理します。たとえば、入力ミスによる確認のやり直し、担当者が休むと処理が止まる、過去データを探せない、顧客への返答が遅れる、紙の保管場所が足りない、などです。

「何が困るか」と「誰に影響するか」を分けて書くと、対策の優先度を考えやすくなります。顧客情報や取引情報を見せる場合は、個人名や金額などを伏せたサンプルを用意してください。

5. どうなれば改善と言えるか

導入する製品ではなく、実現したい状態を先に決めます。

  • 受注内容を一度入力すれば、請求処理にも使える
  • 予約状況を担当者が同じ画面で確認できる
  • 月末の集計時間を短くし、確認作業に時間を回せる
  • 特定の担当者しか分からない手順を共有できる

「作業時間を減らす」「ミスを減らす」だけでなく、どの作業のどの部分をどう変えたいかまで言えると、相談先が解決策を検討しやすくなります。目標値は、現状を測ってから決めても構いません。

6. 予算感と検討時期

予算がまだ決まっていなければ、「初期費用は抑えたい」「月額費用なら検討できる」「補助制度が使えるか知りたい」のように希望を伝えます。導入時期や、繁忙期・契約更新などの期限があれば併記します。

補助金を使いたい場合は、制度名を決め打ちする前に、取り組みの内容、対象経費、申請時期、交付決定前に契約できるかを相談しましょう。制度ごとの募集状況や要件は変わります。最新情報は各制度の公式案内で別途確認が必要です。

具体的な補助金申請の準備事項や見積書作成の注意点は【DX補助金の申請前に確認したいこと|熊谷の事業者向け準備チェックリスト】、熊谷市の独自制度への応募手順は【熊谷市産業DX推進事業に応募するには?事前相談から補助金交付まで】をご覧ください。

7. 既存ツールと相談したいこと

現在使っているソフトや機器の名前、契約プラン、利用人数、更新時期をまとめます。ベンダーから提案を受けている場合は、提案書や見積書も役立ちます。今のシステムの画面や帳票を見せる場合は、社外秘・個人情報を含めてよいか社内ルールを確認してください。

最後に、今回の相談で聞きたいことを3つほど用意します。質問が決まっていない場合は、「最初に何を調べればよいか相談したい」と伝えて大丈夫です。

相談時にそのまま使えるメモ

以下をコピーして埋めれば、問い合わせや初回面談で状況を説明しやすくなります。

相談したい業務:
担当者・関係する人:
現在の作業手順:
使用中の道具・システム:
件数・作業時間: 分かる範囲/未計測
困っていること・起きている影響:
こうなれば改善と言える状態:
予算感・希望時期: 未定でも可
すでに調べたこと・受けた提案:
今回聞きたいこと:

窓口は何を相談したいかで選ぶ

熊谷商工会議所が向いている相談

熊谷市内での経営相談の延長として、業務のデジタル化や自動化、データ連携を専門家に相談したい場合に候補になります。経営の状況や社内の事情も含めて相談したい場合、地域の商工支援とつながりながら進めたい場合に検討できます。

専門家相談の日程や申込み方法、会員資格などは、熊谷商工会議所の経営相談案内を確認し、電話(048-521-4600)で問い合わせてください。ページ記載の相談日程や対応方法は変更されることがあります。

埼玉県DX推進支援ネットワークが向いている相談

デジタル化の第一歩から相談したい、複数のサービスや事業者を比較する前に課題を整理したい、ベンダーの提案が自社に合うか確認したいときに向いています。県内中小企業の相談を受け、必要に応じて埼玉DXパートナーなどの提案につなぐ仕組みがあります。

相談案内ページの申込フォームから送信するか、電話(048-647-4088、平日9:00〜17:00)で問い合わせられます。ネットワークの構成機関から相談する方法も案内されています。IT関連企業から情報収集する段階では相談企業名を公開しない方法がある一方、関心のある提案先との打合せに進む場合は、企業名や担当者の連絡先を相手に伝えるとされています。情報の取り扱いを確認し、共有してよい範囲を相談時に伝えましょう。

初回相談で聞いておきたい質問

用意したメモをもとに、次の点を確認すると次の行動が明確になります。

  1. この業務のどこを先に見直すとよいですか?
    すぐシステムを入れるのか、手順の整理やデータの統一から始めるのか、優先順位を聞きます。
  2. 既製のクラウドサービスで足りますか?
    既存ツールの設定変更、複数サービスの連携、個別開発などの選択肢と、それぞれの条件を確認します。既製ツールで対応できない独自要件や短期間での検証には、Bloengの高速プロトタイプ開発支援 や 無料DX相談 もご検討いただけます。
  3. 導入前に追加で調べる情報はありますか?
    件数や作業時間の計測、利用者への聞き取りなど、次回までに集める材料を決めます。
  4. 費用・運用・保守で見落としやすい点は何ですか?
    初期費用だけでなく、月額料金、設定、データ移行、教育、問い合わせ対応、契約終了時のデータ移行も確認します。
  5. 紹介や専門家派遣の次に何が起きますか?
    面談回数、費用、提案や見積もりの受け取り方、紹介先との情報共有、契約判断の主体を確認します。
  6. 補助制度を検討するなら、どの時点で何を確認しますか?
    公募要領の確認先、申請時期、契約・発注のタイミング、対象経費を聞きます。窓口の相談と補助金の採択・交付決定は別の手続きです。

相談後は次の小さな確認を決める

相談で得た内容は、社内で共有しやすいように「分かったこと」「まだ決まっていないこと」「次に調べること」に分けます。例えば、従業員への聞き取りをする、繁忙期の処理件数を記録する、既存ソフトの契約内容を確認する、といった小さな作業に落とし込みます。

事業者からツールや開発の提案を受けたら、機能だけで決めず、現在の業務との適合性、費用、運用担当、サポート、契約終了時のデータ取り扱いを比べましょう。相談窓口から事業者を紹介された場合も、契約条件や導入判断は自社で確認する必要があります。

熊谷のDX相談は、具体的な製品が決まる前から利用できます。まずは一つの業務を選び、流れと困りごとをメモにして、熊谷商工会議所または埼玉県DX推進支援ネットワークに問い合わせてみましょう。

情報確認日:2026年9月26日
相談対象、日程、担当者、申込方法、支援内容は変更される場合があります。利用前に各窓口の公式ページで最新情報をご確認ください。